会長挨拶


2024年12月13日(金)-14日(土)に虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都港区)において、第10回日本産科婦人科遺伝診療学会学術講演会を開催いたします。第1回日本産科婦人科遺伝診療学会学術講演会が長崎市で開催されてからちょうど10回目となる節目の学術講演会を開催できますこと、誠に光栄に存じます。
この学会は、日本産科婦人科学会のサブスペシャリティ(周産期、腫瘍、生殖、女性ヘルスケア、感染症など)の領域を横断的に網羅する分野として遺伝医療が必要不可欠なものとなることを考えて設立されています。このことも踏まえ、テーマは「産婦人科と遺伝医療の多様性と共生」といたしました。このテーマに沿った、特別講演、教育講演、シンポジウムなどを準備しております。
この10年における産婦人科における各分野の遺伝医療の進歩は急速です。例えば、周産期領域においては出生前遺伝学的検査の進歩や、治療法がないと思われていた遺伝性疾患の治療法が開発され臨床で使用されるようになっております。腫瘍領域においてもがんゲノム医療は日常的なものとなり、遺伝学的検査を行なって治療薬が選択される時代になっております。生殖分野においても着床前遺伝学的検査(PGT)が一般臨床として用いられるようになってきました。このように、遺伝医療は日々進歩しており、産婦人科のどの領域においても遺伝学的な知識と診察技術は必須のものとなっています。
2023年6月に「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律」というゲノム医療に関する法律が日本で初めて制定されました。ゲノム医療の進歩は国民の皆様にも恩恵をもたらすものでありますが、その使用法によっては新たな問題を引き起こします。したがって、ゲノム医療を正しく理解し利用することはこれからの産婦人科医療にとっても非常に重要です。これらのことを考えながら、多くの会員の皆さんに発表していただき、東京の中心部で開催される学術講演会を楽しんでいただきたいと思います。